(後編)【高配当株解説】本田技研工業 会社業績/事業内容

後半では、ホンダ(本田技研工業)の2023年度業績と事業内容を詳細に解説します。

 

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前編では財務状況を分析しましたが、今回はフローの視点から、ホンダの業績や各事業の戦略について深掘りします。

 

 

2023年度の業績ハイライト

2023年度のホンダは、前年と比べ大幅な増収増益を達成しました。売上収益は前年比約16%増加の18兆3,752億円、営業利益は1兆3,819億円と前年比77%増を記録。営業利益率も4.6%から6.8%に改善しました。この利益成長の主な要因は、四輪事業の回復と二輪事業の堅調な成長によるもので、特に北米市場での販売増加、販売価格の引き上げ、さらには製造コスト削減が大きく貢献しました。

研究開発投資は9,763億円と積極的に行われ、電動化、自動運転、次世代モビリティ技術などに注力。一方、設備投資は3,879億円と前年比で減少しましたが、2024年度は6,700億円への増額を計画。これは電気自動車(EV)生産能力の強化や生産設備の近代化を目指しています。

 

事業別業績の詳細分析

まず、最も収益性の高い二輪事業から解説します。二輪事業は2023年度の販売台数が1,881.9万台となり、前年の1,221.9万台から約54%増加。

特にヨーロッパやアジア市場での需要拡大が寄与し、売上収益は3兆2,201億円に増加。営業利益は5,562億円、営業利益率17.3%と非常に高い収益性を誇り、ホンダの収益基盤となっています。

特にインド市場では政府の電動化政策や燃料高騰を背景に電動二輪車の需要が急速に高まっています。またASEAN諸国でも同様のトレンドがあり、ホンダは電動二輪車の販売拡大に向けた投資を加速しています。

 

次に四輪事業ですが、こちらも好調な業績を見せています。

2023年度の販売台数は410.9万台と、前年の285.6万台から約44%増加。

売上収益は13兆7,915億円に達し、営業利益は前年のマイナス166億円から5,606億円と大きく黒字転換しました。

営業利益率も前年のマイナス0.2%から4.1%へと改善。

特に北米市場での四輪車販売回復が顕著で、SUVの「CR-V」やセダンの「アコード」が販売を牽引しました。

さらにホンダは2040年までに100%電動化を目標として掲げ、EVの魅力的な製品開発やバッテリーを中心としたバリューチェーンの構築を進めています。

2024年以降はEV専用のプラットフォームを展開し、軽量化、低重心化、デジタルUXなどを強化した新型EVの投入を予定しています。

 

金融サービス事業は主に四輪車購入時のローンやリース事業を展開しており、2023年度の売上収益は3兆2,517億円と前年比約10%増加。

ただし、営業利益は2,739億円で前年の2,858億円から微減しましたが、営業利益率8.4%と安定的な高収益を維持しています。

四輪車販売台数の増加に伴い、ローンやリース契約が拡大した一方で、金融サービスに係る債権(オートローンなどの未回収金額)が増加し、キャッシュフロー上は営業キャッシュフローを圧迫する要因となっています。

 

一方、パワープロダクツおよびその他事業は厳しい状況が続いています。

売上収益は4,223億円と前年の4,764億円から減少し、営業利益はマイナス88億円と赤字に転落しました。

特に航空機および航空エンジン事業での赤字が拡大しており、この分野の収益改善が課題となっています。

 

ホンダの電動二輪車戦略

二輪事業においてホンダは電動二輪車の開発・販売に注力しています。

市場の現状として、二輪車ではまだガソリン車が主流ですが、近年の環境意識の高まり、各国政府の電動化政策、燃料価格の上昇を背景に電動二輪車市場が急成長しています。

2022年の世界市場規模は約5,500万台で、その中でも電動自転車(EB)が63%、電動モペッド(EM)が28%を占めています。

今後は電動バイク(EV)の普及も加速すると予想されています。

ホンダは電動バイクの課題である高価格を克服するため、バッテリーやパワーユニットの共通化、車体のモジュール化による開発・生産コスト削減に取り組み、従来モデル比約50%のコストダウンを目指しています。

また、リン酸鉄リチウムイオン電池LFP)と三元系リチウムイオン電池(NCM)の使い分けにより、コストと性能のバランスを最適化。

さらに、将来的には全固体電池の研究開発にも着手し、航続距離の延長、充電時間の短縮、安全性の向上を目指しています。

 

ホンダのEV戦略とバッテリー戦略

四輪事業では、EVの新たな価値創造に向け、車両の軽量化・低重心化を進めています。

また、デジタルユーザーエクスペリエンス(UX)の革新を推進し、独自OSを搭載したEVプラットフォームを開発中です。

バッテリーを中心としたバリューチェーン構築では、外部調達と自社生産を組み合わせ、安定供給とコスト削減を図っています。

2030年までに年間200万台分のバッテリー調達を目標とし、調達コストの従来比20%削減を計画しています。

 

直近業績と今後の展望

2025年3月期第3四半期累計業績は売上収益16兆3,287億円、営業利益1兆1,399億円と堅調に推移。

一方、中国市場での競争激化やEV開発費の増加が利益率を若干押し下げていますが、インドや北米市場の好調がそれを補っています。

ホンダは株主還元として1兆1,000億円の自己株式取得を実施し、株主価値向上を強化しています。今後は電動化戦略の進展とコスト削減策が重要課題となるでしょう。

 

 

以上、ホンダの業績と事業内容を詳細に解説しました。ぜひ投資の参考になれば幸いです。